アクセス権限機能でリスクを防ぐには?

クラウドストレージのアクセス権限は、セキュリティ面を強化する機能の1つです。多くのメリットはありますが、適切に活用しないとメリットがなくなります。クラウドストレージは便利ですが、セキュリティを怠ると機密情報が外に流出することになります。セキュリティ強化のためにも、アクセス権限機能についての理解が必要です。

そもそもアクセス権限機能とは

ユーザーのアクセスと行動を管理できる機能です。クラウドストレージは便利ですが、保管している情報を誰でも見ることができる状態だと問題があります。アルバイトも含めた内部の人間だけでなく、悪意ある第三者を含めた外部の人間が自由にできる状態だと機密性はないのと同じです。

アクセス権限機能があれば、クラウドストレージに保管された情報を取り扱えるユーザーを制限できます。チームや部署のようなグループ単位、管理者をはじめ、特定の立場の人間しか取り扱えないようにできます。

アクセス権限機能のメリット

アクセス権限機能のメリットとして「管理体制の強化」「情報漏洩防止」「操作ミスの減少」の3つがあげられます。

管理体制の強化

従業員の個人情報や人事評価や給与関係は、たとえ同じ会社の人間だとしても、知られないように管理を徹底しなければなりません。一旦、情報が流出すれば、内容によっては人間関係が崩れるきっかけにもなりますし、悪い噂が立つリスクがあります。

アクセス権限機能があれば、閲覧できる人間を制限できます。個人情報を同僚に知られたくない従業員も安心できるでしょう。

情報漏洩の防止につながる

サイバー攻撃や不正アクセス防止の助けになります。クラウドストレージのセキュリティが甘ければ、簡単に保管している情報の閲覧や改ざんができるのです。取引先や顧客情報が流出すれば、信用問題にも関わります。アクセス権限機能があれば、セキュリティをより強固にできるのです。

操作によるミスを減らす

ちょっとした操作ミスでも、機密情報ファイルが上書き、削除となれば大問題です。バックアップも重要ですが、そもそも操作ミスで上書きや削除ができないようにする対策も求められます。

簡単な対策が権限機能です。権限を持った人間しか操作できないようにするだけでも、リスクを減らせます。人間ですからミスがあるのはしかたありません。だからこそ、権限機能によるリスクヘッジに意味があるのです。

アクセス権限機能を活用するには

クラウドストレージに権限機能を適切に活用するため、ルールの決定やアクセス権限状況のチェックなど、ポイントを押さえておくことは重要です。

ルールを先に決めておく

権限機能に関するルールを決定します。どんな立場の人間にも付与すれば、内部からの情報流出対策が不十分です。閲覧や編集をしようとしても、他の誰かが利用していればできません。クラウドストレージに権限機能を備えるなら、事前なルールづくりで、よりスムーズな運用ができるのです。

ユーザーの制限、対象情報の制限、権限の内容に関するルールを決めます。また、権限を付与されたユーザーが独自の判断でファイルの削除や上書きができるのも問題です。そのためファイルの取り扱いに関するルールが求められます。

状況はチェックしておく

アクセス権限を付与されたユーザーも、異動や退職をすることもあります。付与された状態のままだと問題です。もし会社に不満を持ったまま退職となった場合、不正利用につながりかねません。その点を踏まえ、アクセス権限の状況を定期的にチェックし、不要な権限があれば削除します。

ファイルはすぐ見つけられるようにしておく

セキュリティを重視し、ファイルを見つけにくくする方法は、利用者のストレスが溜まるだけです。ファイルはすぐに見つけられるように整理整頓が必要です。

たとえば、フォルダの階層構造をシンプルにするだけでも見つけやすくなります。内容や用途別に整理してフォルダ分けするのもいいでしょう。ファイル名のルール設定、階層構造とアクセス権の設定をリンクさせるなど、見つけやすくする工夫が必要です。

スマホからのアクセス制限も検討する

スマホやタブレットからのアクセス制限もしたほうがいいです。利便性は高いのですが、スマホやタブレットだとセキュリティ面で不安が残ります。とくにフリーワイファイでの利用は危険です。

利用を検討するなら、端末認証を設定しましょう。認証を受けたスマホやタブレット以外だと閲覧も操作もできなくすることでセキュリティを高められます。

アクセス権限の注意点

アクセス権限があっても事故は起こります。セキュリティを高める方法の1つですが完璧ではないと認識し、注意点を把握しておくことが大切です。

情報漏洩のリスクはゼロではない

クラウドストレージにアクセス権限を設定しても、油断は禁物です。権限が付与されたユーザーによるミスも、想定しなければなりません。アクセス権限を広く設定する、本来、権限をもたしてはいけない立場の人間にまで付与するなどのミスです。

セキュリティや機密情報の重要性を正確に把握していない人間にまで権限を付与した結果、情報流出が起きて、不特定多数に機密情報が漏れる危険性があります。適切に権限を付与するユーザーを設定しても、操作ミスは誰にでも起こるものです。

情報漏洩のリスクはあるということを前提とし、セキュリティ教育や権限の設定に関するガイドライン、ミスを減らすため、システム全体でのサポートが求められます。

基準は見直しを進めていく

企業全体レベルでのセキュリティポリシーで基準を策定し、定期的な見直しも行います。アクセス権限設定、データの分類方法や、インシデントが発生した場合、どう対処するかプロセスまで決定するのがポイントです。

定期的な見直しが必要な理由は、時代やビジネス環境や技術には変化があるため、柔軟な対応が必要だからです。適切なセキュリティポリシーを設定すれば、基準もわかりやすいですし、個人も組織も含めてセキュリティに対する意識を高められます。