オンラインストレージの暗号化は必要?

クラウドストレージ、またはオンラインストレージは、データの暗号化でセキュリティを強固にできます。クラウドストレージやオンラインストレージを使えばPCの容量を節約できます。ただし、セキュリティを甘く見ると大きな被害につながるため、暗号化は検討したほうがいいでしょう。

暗号化が必要な理由

クラウドストレージの暗号化が必要な理由は、情報漏洩、サイバー攻撃、データ流出後の解読の阻止があげられます。

情報漏洩対策

特定の人以外には、絶対見られたくない機密情報を企業は抱えています。顧客情報や従業員の個人情報、新商品の企画書などが流出すると、大きな被害につながりかねません。企業には、万が一情報が流出した事故も想定し、被害を最小限に食い止める対策が求められます。そこで暗号化技術が助けになるのです。

クラウド事業者も標準でセキュリティを構築していますが、利用者の方も情報の暗号化をすることでより強固にできます。万が一情報流出が起きても、暗号を解読できなければ内容を見ることはできません。

サイバー攻撃や不正アクセスを防ぐため

悪意を持った第三者のサイバー攻撃や不正アクセスは、絶対に防御しなければならない災厄です。第三者は、外部のハッカーだけでなく、内部にもいます。とくに内部の人間でアクセス権限を持っている場合、防ぐのは厳しいです。

ただ、内容が暗号化されていれば被害を食い止めることができます。情報は暗号化されたままですから、中身を見ることができないのです。また、内部の人間の犯行なら、スピーディな特定も期待できます。

誰が、どの時間に、どんなデバイスを使用してアクセスをしたか、アクセス履歴が残るからです。暗号化とともに、生体認証とID管理など、他のセキュリティがあれば、反抗前に断念する人間もいるでしょう。

データ流出後の解読を防ぐため

万が一、データが流出していても、暗号化されていれば解読できません。同時にファイル追跡、遠隔操作を使ったデータの削除、ファイルを閲覧できる権限を持った人間の変更機能も組み合わせれば、流出しても対策できるため被害を最小限に抑えられます。

どんなに強固なセキュリティを有しても、技術力を持ったハッカーや、組織による攻撃、内部犯行に対しては防御も限界もあるのです。また、クラウドストレージを使って外部の人間とファイルのやりとりをするケースもあります。企業のセキュリティを考える上で、リスクヘッジも考えなければなりません。その1つとして、暗号化は有効です。

暗号化方式の種類

クラウドストレージで採用されている暗号方式は「共通暗号方式」と「公開鍵暗号方式」の2種類です。

共通鍵暗号方式

データの暗号化と暗号の復号をするための鍵を同じにする方式です。送信者には暗号化キーの準備が求められます。共通鍵暗号方式は、情報漏洩のリスクが低い方式です。

復号のための鍵は、送信者とファイルを閲覧する人間しか共有できません。他の鍵を持っていない人間は、復号したくてもできないのです。演算も複雑ではないため、高速処理ができます。

ただし、復号のための鍵を共有する人間が増えればリスクが高まるのは注意点です。共有する鍵を取り扱う人間が多くなる分、外部に情報が漏れてしまうリスクが高くなります。鍵を共有する人間は、その点への警戒が必要です。

公開鍵暗号方式

データを暗号化するときは、公開鍵、復号化するときは秘密鍵を使います。公開鍵と秘密鍵が対となるのが特徴です。秘密鍵を持っていないと復号できないため、高いセキュリティを持った方式といえるでしょう。

公開鍵暗号方式では、受信者が公開鍵と秘密鍵を作って送信者に送ります。送信者は受け取った公開鍵を使い、データを暗号化して受信者に送る仕組みです。受信者は秘密鍵を使って複号します。

公開鍵暗号方式で必要なプロセスは、多少複雑なためにスピードを重視する状況には向いていないかも知れません。ただ、セキュリティ面では、高レベルを確保できるというメリットがあります。

暗号化の種類

暗号化には、通信とファイル保存という2種類があります。それぞれの特徴があるため、どちらが自社に適しているかチェックしてみてください。

通信

ブラウザとサーバー間で行われるデータのやりとりを暗号化する方法です。データの通信時、暗号化されていない場合、見ることができた人間に内容を知られます。情報漏洩だけでなく、データの流出や改善、フィッシング詐欺に利用されるリスクもあるのです。

通信の暗号化は「SSL/TLS」というプロトコルを使用します。暗号化することで、データの安全性を確保できるのです。

ファイル保存

ファイル保存は、ファイル自体を暗号化する方法です。一般的に、共通鍵暗号方式がよく採用されており、鍵を持っていない人間は複号できません。注意点は、対応できるクラウドストレージサービスは少ないことです。ファイル保存時に暗号化はできるクラウドストレージサービスか、事前確認が求められます。